分科会B 男性上司にも知ってほしい『女性のキャリアデザインとホルモンケアの重要性について』

講師:大塚製薬株式会社                 ニュートラシューティカルズ事業部             女性の健康推進プロジェクトリーダー 薬剤師 西山 和枝氏

分科会Bは大塚製薬株式会社の西山和枝氏を講師にお迎えして、『キャリアを築く上で女性のホルモンケアが重要』というテーマのもと、女性がどのようにホルモンが関係する心身の変化と向き合うか、また周囲はどのような理解が必要かということを具体的に知る濃い時間になりました。

 

内容は3つのテーマで構成されました。

1.女性のライフステージと女性ホルモンの関係

  2.各ステージで起きるホルモンが関係するトラブルと対処法

月経前症候群・働き盛りの婦人科系がん・閉経後(骨粗鬆症、更年期症状)

  3.女性活躍のために必要なこと(周囲の理解・ウェルエイジングの考え方)

豊富なデータに基づいた内容は大変説得力があり、参加者が自分事として絶えずメモを取っている姿が印象的でした。

 

1.女性のライフステージと女性ホルモンの関係

・初経を迎える思春期から閉経を迎える更年期まで女性ホルモン(エストロゲン※)は大きく変化し心身に影響を与え、女性のライフステージと密接な関係がある

※エストロゲン:女性ホルモンの1つで、皮膚(肌のはり、しわ)や乳房(乳がん)、骨(骨粗鬆症)、生殖器(子宮がん、子宮内膜症)、肝臓(高脂血症)、循環器(血圧、動脈硬化)、脳・中枢神経(認知症、ほてり、汗)などに大きく影響を与えるホルモン物質

・長寿社会においては閉経後のエストロゲンが減少した後の身体との付き合い方も大事

・月経前症候群(PMS)や更年期障害により、昇進を「辞退した」または「辞退しようと考えたことがある」人が6,7割いるという調査結果がある

 

2.各ステージで起きるホルモンが関係するトラブルと対処法

→月経前症候群・働き盛りの婦人科系がん・更年期症状・閉経後(動脈硬化・骨粗鬆症)

・婦人科疾患による損失は、医療費支出だけでなく生産性の損失も大きく、その額は6兆円を超える

・月経前症候群(PMS)と付き合うためには、セルフケア(記録する・食生活を整える・軽い運動・ストレス回避など)や漢方薬・ピル・対症療法がある。それぞれに正しい知識をもって選択できるようにしておくことが大切

・働き盛りに多いと言われる婦人科系のがんは、女性ホルモンが関係していることが多く、食生活の欧米化や月経の回数などが影響している

・閉経後の女性のエストロゲンレベルは男性よりも低くなり、骨密度が大幅に減少する。その結果、女性の骨粗鬆症罹患率は男性よりも圧倒的に多い

・骨粗鬆症から寝たきりになる人は多く、閉経後の人生を見据えたホルモンケアを若いうちから取り入れることが重要

・女性ホルモンの低下には「規則正しい生活・食事・運動」「代替医療として注目されているエクオールなどの機能性食品」「かかりつけ産婦人科医による薬物療法」が有効

・フランスでは当たり前にかかりつけ産婦人科医を各人が持っており、自分の身体について信頼して相談できる人を若いうちから見つけている

・大豆由来成分の「エクオール」は更年期症状への有効性が示されおり月経前症候群(PMS)の精神症状に対する効果も注目されている成分である

 

3.女性活躍のために必要なこと(周囲の理解・ウェルエイジングの考え方)

・女性が活躍し続けるためには、更年期に起きる症状に対処しやすい環境づくりが不可欠である

・女性のホルモンケアやホルモンバランスの変化に伴う症状に関する知識は、女性だけでなく上司や男性社員も知っておくべき知識

・目指すのは「アンチエイジング」ではなく「ウェルエイジング(上手に老いること)」である

 

西山氏のお話を伺うと、女性は短期的視点(月経周期)に基づくホルモンバランスと心身の変化を理解して、その変化と上手に付き合うことが重要で、さらに長期的視点を持って自分の身体の変化を見通し、ステージごとに起きる変化に備えた準備を行う必要がある。短期と長期の2軸で変化を捉えることが、女性が長期的に活躍し続ける秘訣だと感じました。

今回のテーマは、女性社員だけにとどまらず、男性社員や女性部下を持つマネジメント層にも基礎知識として知ってもらいたい内容であり、女性のキャリアデザインにおいては重要課題の一つであることを再認識することができました。

 

分科会Bアンケート(抜粋)

「普段聞けない話ですが、女性にとって非常に重要な内容だと思いました。ぜひ弊社での出張講演もお願いしたいと思います。また、自分自身や子ども(娘)の身体のこともちゃんと考えていかねばならないと思いました。」

 

「まず自分自身の今をと思い選択しました。安心してキャリアを積む女性がさらに増えていくためのマネジメントの重要性を認識しました。」

 

「これまで仕事や能力という面でしか女性を理解しようとしていなかったのですが、会社のパートナーとしての認識での理解が必要なのだと感じました。」

 

「メディアの情報だけでなくきちんと現状を知る機会をいただきありがたいです。内面の問題は意外と孤独です。心強いと思います。」

 

「最初から最後まで夢中になって聞いてしまい時間が経つのがあっという間に感じる分科会でした。貴重なお話をありがとうございました。女性が多い職場にいるため本日学ばせて頂いた事を活用していきたいと思います。」

 

「女性の体の仕組みを理解することができた。セルフケアの大切さを再認識できた。このようなお話を広く女性にも男性にも職場の人に知ってほしいと思った。更年期について知る機会をありがとうございました。」

 

「他の分科会とは少し角度の異なるテーマだったと思いますが、女性が活躍する上では最も重要な根幹となるテーマだと感じました。仕事を続けていく上で、自分の体がコントロールできるよう体に対する関心を高めていきたいと思います。」

 

講演終了後、受講者一人一人の質問に笑顔で応えてくださる西山さん